ニューヨーク日記8日目 平成29年1月26日

 今、当地は夜の8時。

 今日はコンサートが中休み。

 午前中は皇室論の執筆と帰国後の私の仕事――執筆中心になり、社会的には文化運動、精神運動といふべき仕事になる――に関する覚書を書き溜めた。

 今回の皇室論は有識者会議の保守系論客のヒヤリングが余りにひどいので、先輩方への批判となる。皆さんよく存じ上げてゐるし、尊敬もしてゐる方たちだが、この秋から冬にかけての保守系言論人諸先輩の皇室論は批判せざるを得ない。何よりも陛下の御言葉をよく読んでゐない。大意を勝手に「拡大解釈」して陛下の御提言を否定するものばかりである。次に、天皇伝統への深い洞察がない不用意な発言が目立つ。雑誌発表が先になるか単行本での発表がそのまま初出になるか分らないが、いづれにせよこれはきちんと書いておかねばならない。

 今回の御譲位に関しては、安倍政権の対応に関しても積極的に提言してゆくつもりだ。

 朝は重たい雨天だつたが、窓に向かつて「今日は晴れる、今日は必ず晴れる。昼過ぎには絶対晴れる」と唱へ続けた結果、昼過ぎに快晴になつた。偶然ではない。私はよくさうした天気との会話を楽しんでゐる。絶対無理な時は頼まないから思ひ通りになるんぢやないかといふ失礼な指摘をする人もゐるけれど。

 セントラルパークを初めて散策した。体調が今一つで隈なく歩くといふでもなかつたが、私が歩いた場所は大味な印象だつた。明日にはメトロポリタン美術館に行ければと思ふ。

 帰宅後、畏友Kさんのご紹介で急遽会ふ事になつた方について文章の読込みと、古今和歌集雑歌上通読。古今集は何とかNYで読了したい。今しがた腹が減つたので部屋でどん兵衛を食つた。これから末摘花。大岡信の『紀貫之』。夜11時頃まで頑張つたら軽く酒を呑みに出るとしよう。

 明日から愈々ブルックナーも後期。
ブルックナーを6番までじつくり聴き続けた事の意味を噛みしめ、明日から3曲の巨大な傑作を聴ける意味と幸福をじつくり自覚し直しておきたい。